どんな道具を使っているの?
メイクや加工などが初めての人は、一体どんな道具を使えばいいのか途方に暮れると思う。
# 自分もそんな 1人でしたw
そこで、ここでは自分がどんな道具を使っているのかをちょっと紹介。
道具を集めること自体も好き (手段と目的が逆転(笑)) ということもあり「これってホントに使うの?」という道具もあるかもしれないが、有ると便利に違いはないので紹介しておきます。
メイク道具

塗料

ラッカー系塗料

代表的なものは「Mr.カラー」。「紳士色」とも呼ばれる。以後これを基本に説明する。
正確には「溶剤系アクリル樹脂塗料」に分類され、「ラッカー」という名称は俗称である。

対象への喰いつきが強く多少の摩擦にも耐えられるが、溶剤の成分がシンナー系のため溶剤臭が結構きつめ。自分 1人ならまだしも同居人が居ると苦情が出る。マレに近隣住民からも苦情が出る場合があるので取り扱い要注意。

濃い色だと色素沈着する場合があるので注意。

塗膜は 3種類の塗料 (ラッカー・アクリル・エナメル) の中で最強となりどれにも侵されない。侵されるとすれば自分自身。
しかし完璧とは言えずアクリル系塗料に対して若干弱いようで、特に Mr.カラー スーパークリア つや消し UV カットは X-20A に対して耐性が若干弱く、何度も擦っていると塗料 (コート) が溶ける場合があるので注意。
# 実際下地のクリアが溶けました。そこだけ塗料がくぼんだかのように剥がれた・・・。
ちなみに今のところファレホ シンナーは大丈夫だったようだがこちらもちょっと安心できない場面もあった。

希釈 (塗料を柔らかくする) は「Mr. カラー うすめ液」を使用する。
乱暴な言い方をすると瓶の中で分離しているあの透明な液体はうすめ液みたいなもん。瓶の中で塗料がちょっと硬くなってるなら適当に足してあげよう。
ただし完全に硬くなったら市販品の色であれば買い直そう。自ら混色していて使い直したいのであれば復活材が売っているのでそれを使う。

塗装の除去は希釈に使う「Mr.カラー うすめ液」を使用する。
似たようなパッケージで「Mr.カラー ツールクリーナー」なるものがあるが、あれは溶剤成分が更に強力になっておりソフビの表面を溶かすので、塗装除去に使用する際は最終手段にすべきシロモノである。
# そもそも筆やエアブラシを簡単に掃除するための液体です。

塗料の乾く速度を抑えるには「Mr.カラー リターダーマイルドを使用する。
リターダーとうすめ液 (希釈液) は役割が違うので注意。

アクリル系塗料

代表的なものは「タミヤカラー アクリル塗料」「造形村 リキテックス」「造形村 ファレホ」など。
正確には「水溶性アクリル樹脂塗料」。

基本的には、筆の掃除は乾く前なら水で洗い流すことが出来、乾燥すれば耐水性・耐薬性となる。
臭いはラッカー系塗料に比べれば雲泥の差でマイルドであり室内塗装をするにはうってつけだが、溶剤の主成分がアルコールのためアルコール臭はする。

塗膜はラッカー系塗料に対して非常に弱いので、ラッカー系塗料で上塗りする場合は細心の注意を払うこと。
例えばファレホで唇を塗装した後に瓶入りの「Mr.カラー スーパークリア つや有り」で艶を出そうと筆を走らせると、下手をすれば筆にファレホを持って行かれる場合があるので筆の走らせ方には注意しよう。
また、コーティングで「Mr. カラー スーパークリア つや消し UV カット」を厚吹きすると下の塗装が溶け出す場合があるので、スプレーコートする場合は薄く何度かに分けてコーティングしよう。

完全乾燥後の塗料除去は基本的には「X-20A」や「水性ホビーカラー うすめ液」では歯が立たず、ラッカー系塗料用の「Mr.カラー うすめ液」「同 ツールクリーナー」ですら完全に消すことは難しい場合がある。この場合は「リムーバー」なるものを使用する。特にリキテックスの場合はこれが顕著で「リキテックスリムーバー」なんて専用品があるくらい。
このリムーバーがくせ者で、「Mr.カラー うすめ液」の臭い所の比ではない臭さ。
完全乾燥後の塗料除去具合は不等号で表すとこんな感じ。

消える:リキテックス リムーバー>>>(越えられない壁)>>>Mr.カラー ツールクリーナー>Mr.カラー うすめ液>X-20A≒ファレホ シンナー:消えない

塗装の修正については塗った直後のみ簡単に行えるものの、時間が経つに従って水やうすめ液で消すことが難しくなる。
# 時間にして 2分が限度、それ以上は困難。
また、ラッカー系塗料と同じくソフビやキャストに色素が沈着し完全に拭き取れない場合が多々あるので、大事なヘッドには使わない方が良いかもしれない。このへんは経験則なので各自チェックして欲しいが特に赤と黄色系が酷い。
一応の回避策としてはペイントする前に「Mr.カラー スーパークリアつや消しUVカット」を3回くらい重ね吹きしてソフビ層に到達しないようにするが、マレにこの層を貫通する塗料 (色?) もあるので侮れない。

Mr.カラー スーパークリア (C155)
Mr.カラー スーパークリア

唇や爪などのつや出しでよく使われているクリア塗料。
同性質の Mr.カラーでペイントした場合は下に塗ったメイクを侵してしまうので、Mr.カラー塗料で塗った上に Mr.カラー スーパークリアを塗りたい場合は十分注意して使用すること。
具体的には筆で「撫でずに乗せる感じで短時間に処理する」。
もしくはアクリル塗料系のクリアを使用すればラッカー層を侵さないが光沢度はMr.カラーに劣る。

多少粘性があるため、塗りにくい場合は Mr.カラー うすめ液で少し薄めても良い。

光沢度はクリアにもいろいろあるが、以下のようになっている。
クリアー、スーパークリアー、スーパークリアーIIの違いを教えてください。
光沢度 高:C184>C155>C46:低

Mr.カラー うすめ液

Mr.カラー (ラッカー系塗料) を希釈もしくは除去するための溶剤。
そこそこの刺激臭がするので近隣のご迷惑になる可能性アリ。
メイクの際に「紳士色の塗料がちょっと硬いなぁ」と思ったらこれを少し添加してかき混ぜてあげよう。塗料の瓶にそのままぶちこんでおっけー。ぶっちゃけ大雑把に言うと瓶の中の透明な液体はコレです。

タミヤ X-20A
アクリル塗料用薄め液 X-20A

アクリル塗料用の薄め液。
タミヤ銘柄だがアクリル塗料であるリキテックスにも利用可能で、リキテックスを薄めたいときはこれを使った方が塗料の乗りはよい。
# リキテックスは水溶性アクリル塗料のため水でも薄められるが、水だと塗料の乗りが悪い上に乾燥具合も若干悪くなるのでお勧めは出来ない。
ほぼ同一名称の「X-20」(A が着かない) はエナメル用と用途が違うので注意。


リキテックス リムーバー
リキテックス リムーバー

リキテックス絵具やアクリル塗料を「剥がし取る」ための溶剤。
完全乾燥した塗料をガンガン剥がし取れるので、時間の経ったアクリル系塗料、リキテックスなどによるメイクを消すのにはこれしかない。

第二石油類に分類される溶剤のため超強力な石油臭がするので、使用時は絶対に換気を怠らないこと。
# 生半可な換気だと換気しきれないほどの臭いです。

また、強力な溶剤のため、金属もしくは陶器の器に入れること。
スチール容器だと容器ごと溶けてガスが発生し、最悪の場合異臭騒ぎになる可能性有り。
自分が確認した次第では、SD で使われているウレタンや、DD で使われているソフトビニールに使用しても特に問題はなかった。

Mr.カラー リターダーマイルド
Mr.カラー リターダーマイルド

Mr.カラー塗料の乾きを遅くするための液体。
Mr.カラー塗料はそのままだとメイクをするには乾きが早すぎるので、リターダーで乾きを遅くする。
うすめ液は柔らかくするだけだが、リターダーを使うと乾きにくくなる。
分量はメーカー公称では塗料の10%を添加となっているが、時と場合によって変えるべし。

お勧めの塗料は?

自分がよく使っている塗料は、アクリル系塗料で刺激臭がしない「ファレホ」。
全国のボークスショールームで取り扱ってます。プラモ塗料コーナーでどうぞ。

17ml で 290円+税とちと容量単価はかなり高いように思われるが、実際は様々な理由によりコストパフォーマンスは非常に高い。
まず、攪拌に棒を必要としないので攪拌棒に塗料を奪われない。
次に塗料の抽出は必要最低限で済むため使う量が非常に少なくて済む。
また、塗料容器の密閉性が高いのか中身が干からびること無くいつまでも使える。
特にこの「容器の中で干からびない」というのは、いざメイクをしようとする祭に塗料が干からびていたからメイク出来なかったという悲劇から救われるので精神衛生上的にも良い傾向になる。

臭いは塗料についてはほぼ無臭だがファレホ シンナーは消毒用アルコールよりちょっと弱い程度。シンナーと書かれているが実際はアルコール系。

塗料の消去は「水でも消せる」と言われているが、「ファレホ エアブラシシンナー」 (以下「ファレホ シンナー」と記載) で消した方が綺麗に消える。
15分ほど経つとファレホ シンナーでもなかなか消えないので、その場合は X-20A → Mr.カラー うすめ液の順に手を借りる。
完全乾燥すると何をやっても消えないのでバニーコーポレーションなどから出ている「リキテックスリムーバー」を使用するのだが、ぶっちゃけ Mr.カラー つや消しスプレーでコーティングしても貫通するときは貫通して色素沈着するので、買い換えて元のヘッドは他の用途に転用した方が良いかもしれない。

ファレホの攪拌はまず容器を指でつまみ、反対側の手のひらに多少強めに何度も当てて攪拌する。
# これが正規の攪拌方法。(笑)
攪拌が出来たらペーパーパレットに目薬の要領で塗料を出す。この時出し過ぎると勿体ないので分量に注意。
塗料はそのままだと粘度が高く使いにくい場合があるので、その時はファレホ シンナーで柔らかく (希釈) する。
塗料の乾きを遅くしたい時は「ファレホ リターダーメディウム」を使用する。このリターダーメディウムは粘性があるのでちょっと使いにくい。分量は塗料の総量の 5%以内と言われているが、ぶっちゃけそんな量はわからんので初めは「5%」を念頭に置いて適当に加えれば良いだろう。
ここで注意したいのは、「リターダーメディウムとシンナーの用途は全く別である」ということ。
シンナーにも遅乾性は有るようだがリターダーメディウムには及ばないようなのでシンナーで希釈と遅乾性の両方を得ようとは思わないこと。
逆にリターダーメディウムで希釈は出来ないので、シンナーとリターダーメディウムは両方用意する必要がある。
# そもそもリターダーメディウムの粘度が高い。
あとは普通の塗料となんら代わりはない。

筆塗りの注意点として、塗料が乾くと硬い皮膜状になるので、しばらくの間筆を置く際は必ず筆を洗おう。乾燥すると厄介なので出来れば早め早めに筆を洗うことをお勧めする。早いタイミングであればただの水道水で筆を洗うことが出来るので、面倒だが筆は頻繁に洗った方が良い。

希釈に使う溶剤だが、一般的には「水や精製水が代用できる」と言われているが、個人的にはファレホ シンナーを使うと塗料の伸びが段違いなので、ここは是非希釈にはファレホ シンナーを使って頂きたい。
具体的にはこんな感じ。

延びが良い:ファレホ シンナー>>(越えられない壁)>>精製水>水:延びが悪い
また、塗料の乗りも水系だと悪いようなので (希釈成分の飛びやすさに関係している物と思われる)、ここは素直にファレホ シンナーを使った方が良さそうだ。

道具の洗浄に関しては前途の通り塗料が乾燥していない初期段階であれば水で十分洗えるので、筆を洗う場合は早め早めに水で洗っておくとコスト的にも安くつく。最終洗浄にファレホ シンナーを使えば良い。

画材

コットン
コットン どぼん(メイク全消し)やパステルメイク時に利用する。

マスキングテープ
マスキングテープ メイクではほとんど使わないが、唯一使うとすればまゆ毛を描くとき。
マスキングテープで左右の上下バランスを取りながらまゆ毛を描いたり、マスキングテープをくりぬいてまゆ毛テンプレートとして使用するなど。
また、粘着力が高くなく、セロハンテープのように糊が残りにくいので、仮止めなどの通常とは違う使い方をする場合も。

綿棒 (丸形)
綿棒 (丸形) 極普通の綿棒。

綿棒 (三角型)
綿棒 (三角型) 綿棒の先がとがっているので、丸形綿棒よりも細かい作業をするときに使用する。

ペーパーパレット
ペーパーパレット 表面がつるつるした紙。
プラスチックなどのパレットだと後始末が大変なので、こうした使い捨てできる紙をパレット代わりにする。

Mr.スーパークリア つや消し UV カット
Mr.スーパークリア つや消し UV カット

メイクで主に使用されるコーティング剤。
UV カットではないつや消しでも良いが、必ずつや消しを使用すること。
つや有りを吹くとてっかてかになる。

X-20A で溶ける場合があるので X-20A で本描きを消す際は気をつけよう。
田宮 調色スティック 2本組
TAMIYA 調色スティック 2本組 塗料をかき混ぜたり掬ったりする。
かき混ぜるだけなら爪楊枝などで良いのだが、掬うとなるとこのスティックが結構便利。
ちなみにかき混ぜるのは平たい方で。
金属皿
金属皿 塗料の調合や溶剤、リムーバーなどの展開に使用する。
塗料は皿に出すほど量を使わないし、後の掃除も面倒なのでペーパーパレットに出した方が良い。
金属皿は主にリムーバーや溶剤などを溜めておく場所として使うと良い。
大きいのと小さいの両方有ると結構便利。
水を入れると錆びやすい。

スポイト
スポイト 溶剤やリムーバーを金属皿などに移すために使用する。
スポイトは時々製造不良でスポイトの役目を果たさない物もあるので、購入時には製造不良でジャンクになっていないかをよく確認すること。

筆 #1 メイクで使用する筆。
余りにも細すぎる筆は筆先に塗料を含みきれずすぐに乾燥して使えないので、心持ち太めを選ぼう。
下手をすると筆に塗料を含ませてちょっと考えてる間に塗料が乾き、もう一度筆に塗料を含ませて、というアホなことになる。


筆 #2 筆の毛先はこのような太さとなっている。

なお、この 3本の筆のうち常用しているのは一番右側の筆。
他の 2本に至っては一度使ってみたが非常に使いにくかったので使ってはいない。

まゆ毛を描くときの使いやすい細さとしては、一番右側の筆のような細くて長すぎない・短すぎない毛先が良いようだ。
短すぎたり太かったりするとまゆ毛などを描くときの腰が無くなり細い線が上手く描けない。
お勧めはボークスの造形村 面相筆の緑文字 (筆先が白)。

水彩色鉛筆
水彩色鉛筆

主に下描き用に使用するが、メイクに立体感を持たせるために縁取りに使ったりといった用途にも使える。
水で消せると言われているが定着力がそこそこ有るのでメラミンスポンジと併用した方が良さそう。
また、キャストに沈着することがある (特に濃い色) ので「Mr.カラーつや消しスプレー」などでコーティングを行ってから使用した方が良い。
沈着した場合はメラミンスポンジで軽く磨けば落ちるようだが、ソフビに対しては無力。

造形村 パステルセット
造形村 パステルセット パステルメイクを行うために必要なパステルセット。
数種類の色の組み合わせセットがあるので、自分がよく使うであろうセットを購入すること。
パステルそのものは角形ソフトタイプなので、パステルを扱っている画材店であればそこでバラ買いしても良い。
なお、パステルメイクはキャスト地に乗りにくい場合があるので、コットンなどでパステルを叩き付けた後に "造形村 パステル定着剤" を吹き付けるか、あらかじめ下地としてつや消しのスーパークリアでコーティングする事をお勧めする。

造形道具
造形村 アイサイザー
造形村 アイサイザー アイホールの裏をドールアイの大きさに合わせて削るための球体ヤスリで、ドールアイと同じ大きさの球体上のヤスリが付いており、これでアイホール裏を削ることにより小さなアイホールに大きなドールアイを入れることが出来るようにする。

造形村以外の取り扱いで同じ道具もあるが、注意するべき事は「同じ名称で役割が違う」という事。
造形村ではアイサイザーはアイホールの裏を削るための道具となっているが、同等品、特にビスク屋などではアイホールの大きさを測るための道具となり、棒の先っちょにドールアイサイズの木の球体が付いた道具になる。
ビスク屋などでは、造形村のアイサイザーの同等品は "アイベベラー" という。
同等品を探すときは注意すること。

ホットボンド
ホットボンド ドールアイをアイホールに固定するためのボンド。
機能的には DIY 店で売られているホットボンドと全く同じだが、ノズルが一般の物よりも長くなっており、ヘッドの中にノズルを挿入しやすくなっている。
正直、これだけは造形村の物を買った方が良いと思う・・・。

電動リューター
電動リューター ボディやヘッドを削るときに使用する電動ヤスリ。
メイクするだけならば使用することは全くないが、ヘッドやボディの造形を変えたい、という時に大いに役立つ。
自分が使っているのは単三電池 2本の乾電池型ハンドリューターだが、ヘッドのアイホールの造形を少し変えたりカッターナイフなどで削いだソフビの角を撮る程度であれば電池式で十分。むしろ電池式だとパワー的に削れすぎることはないのでお勧め。
流石に SD (キャスト) ではパワー不足なので、AC100V 電源型のハンドリューターをお勧めする。
# ドルフィープラスのキャストヘッドを削るくらいなら電池式で必要にして十分なんだが・・・。


紙ヤスリ
田宮 フィニッシングペーパーの #180P と #240P が有れば事足りる。
ただの紙やすりだと表面に深い傷が出来るのでお勧め出来ないどころかやめろ。

スポンジペーパー
スポンジペーパー 最終仕上げ用に使用するスポンジ状のサンドペーパー。
スーパーファイン、ウルトラファイン、マイクロファインの 3種類を用意しよう。

メラミンスポンジ

紙ヤスリでやすった後の仕上げとして使う仕上げ材。
ようは台所で使う茶渋などを取るためのアレと全く同じもの。
100均で購入してください。