この作業を行うと,Millennium II は PC-9821 PCI 搭載モデル,しかも NT 4.0 でしか使用できない危険性があります.
また,場合によっては再起不能になる場合も多々あります.
半田鏝の取り扱いに自信のない方,または度胸のない方は絶対にこの作業をしないでください.
■MillenniumII は BIOS 切り離しスイッチがない
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Millennium にはついていた VGA 無効スイッチですが,こと MillenniumII にはついていない模様.(汗)
しかしソレでは VGA BIOS を切れないので,
1.BIOS を論理的に飛ばす
2.BIOS を「使用しない」にする
のどちらかの作業が必要ですが,BIOS を論理的に飛ばしてしまうと,せっかくの 250MHz モデルがパーになっちゃいます (どうも BIOS を飛ばしてから元に戻しても 250MHz モードで動かないようです).
それでは惨たらしいので,電気的に切ってしまおうというわけです.
そうすると,元に戻す場合は半田でチョイチョイとまた元に戻してやれば 250MHz モデルになるので安心です.
ただし見た目が悪くなるのは仕方がないですね.
- 半田鏝セット
- この作業をしようとする方にはあえて説明しません.どうせこのセットもってるでしょうから説明するまでもないですね.
- 5kΩ〜10kΩの抵抗
- 普通のカーボン抵抗で十分です.ただし極小型の抵抗を使いましょう.
これだと抵抗 1本だけで作業が済みます.
1. VGA BIOS を肉眼で確認する
場所は以下の写真で確認して下さい.

チップ名は「M28F256」になります.
こいつは SGS-THOMSON 社 (英語 / 日本語) の 256KB EEPROM で,データシートは http://www.st.com/stonline/books/pdf/docs/4727.pdf にあります.
ピンアサインを左にあげておきます.
AMD チップの場合は問題大ありです.
機能的には M28F256 と互換性はあるのですが,ピンアサインは違います.
これはデータシートを参照すれば違うピン同士を接続すればいいのですが,そのピンアサイン表がくせ者で,チップ上面図では 24pin は G となっているにもかかわらず,データシート内には G の記述はなく,G# の記述しかありません.
ピンアサインを右に載せておきます.
みーやんさんはここで「24pin から基盤へのラインをカットし,ピンレイアウトの端子を信用して,G を正論理 (Active High) と仮定して上記の改造を行いました」とおっしゃられていますが,現在のところ「とりあえず動く」と言った状態で,常用は無理のようです.
データシートを信用して G を不論理 (Active Low) と仮定し,24pin から基盤へのラインをカット,24pin から 32pin へプルアップ抵抗を噛ましてプルアップすればどうなるかは,現在みーやんさんが実験されている最中ですので,結果が出るにはもう少し時間がかかりそうです.
2. VGA BIOS を Disable にする
いよいよ手術開始です.
まず /G (25pin) が基板に向けて短い配線で入っていますが,この配線をパターンカットします.
続いて /G (25pin) のピンを Vcc (32pin) にプルアップ抵抗経由で接続します.
このとき,抵抗で Vcc (32pin) と /G (25pin) ピンを接続すれば楽に作業をこなせます.
VGA BIOS のピンは切り欠きを左上に持ってきたとき,上辺真ん中に●があります.そこが 1pin になるので注意.
そのすぐ右が Vcc (32pin) になります.
パターンカットをした場合は,パターンの先にあるスルーホールと /G (25pin) ピンがちゃんと切断されているかをテスタで確認しておきましょう.
ハードウェアの改造はこれで終わりです.
配線図を以下に載せておきます.

ちなみに
「Vcc を切れば電気的に BIOS が動かなくなるのでそれでいいのでは?」
と思ったのですが,さいとさんに聞いてみると
「それだと他の信号ピンから入ってくる信号もあるので,ただ Vcc を切断しただけでは壊れる可能性がある.それよりはデータシート通り,BIOS を Disable にするようにし向ける方が賢い」
とのこと.
データシートを見てみると,/G を Vcc にプルアップすることにより Output Disable になると書いています (データシート 4ページ目参照).
3. ドライバインストール
あとは本体にブッ刺して電源を入れれば NT 4.0 で使用可能となります.
ちなみにドライバは matrox に落ちている Unified Driver はベンチ的にプーなので (っていうかインストールの時点で半コケ(汗)),附属の 3.20J を使用した方がいいでしょう.
上手くいけば起動時もしくはドライバインストール後に以下のように認識されるでしょう.
K6-2 (CXT コアモデル) は WriteCombining を使用できます.
MillenniumII ではどうやらそれが 2エリアあるようです.
Windows NT Workstation 4.0 for PC-98 で計算してみると,
メモリアドレス開始番地 | 容量 |
21000000〜 | 4MB |
22000000〜 | 8MB |
となっているようです.
ということで,
MTRR | メモリアドレス開始番地 | 容量 |
MTRR0 | 2100:0000 | 4MB |
MTRR1 | 2200:0000 | 8MB |
となるように Write Allocate Monitor II で設定してあげましょう.
現在のベンチは以下のようになっています.
★ ★ ★ HDBENCH Ver 2.681 ★ ★ ★
使用機種 PC-9821Xa/U8W
Processor AMD K6-2 359.9MHz [AuthenticAMD family 5 model 8 step C]
解像度 1024x768 65536色(16Bit)
Display Matrox Millennium II
Memory 64,956Kbyte
OS Windows NT 4.0 (Build: 1381) Service Pack 3
Date 1999/ 7/18 9:43
I-O DATA Ultra ATA Bus Mastering Controller
WDC AC32100H 22.0
SONY CD-ROM CDU77E-NE1.2g
ALL 浮 整 矩 円 Text Scroll DD Read Write Memory Drive
19218 24837 32097 33048 7723 30473 419 3 3289 3058 20800 A:10MB
この作業はさいとさんと島さんのレクチャーによって実現できました.
お二方には心より感謝申し上げます.どうもありがとうございました.
また,AMD Am28F010A フラッシュメモリチップの置き場所と PDF を送って下さいましたみーやんさんには厚くお礼申し上げます.
matrox
SGS-THOMSON (英語)
SGS-THOMSON (日本語)
M28F256 データシート
Write Allocate Monitor II
AMD (英語)
AMD (英語)
Am28F010A データシート
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