2016/06/19
Amazonベーシックのカーボントラベル三脚を買ってみたよ
アマゾンで「Amazonベーシック トラベル三脚 130cm 4段 小型 自由雲台 カーボン キャリングケース付き」(AA) がタイムセールで安かったので思わず買ってみた。

カーボンのトラベル三脚 (脚を 180度ひっくり返して折りたためるので収納長を短くすることが出来る) なのにこの値段で、評価は総じて「脚は最高だが雲台がクソ」と言われていたので最悪脚だけ使えれば雲台はこっちでなんとかしようと考えていた。
それにロックがナット式のためパイプを抜くことが出来るので水に入れても水抜きしやすそうだということで。
ローアングルが出来なさそうだけどライトスタンドとして使えればいいかなと思いつつポチッ!

長いので畳む。


結果から書くと
雲台がクソなのはクイックシューとクランプだけでボール部 (首から下) より下は問題無いレベル。
# といっても通常利用の範囲であればシューとクランプも問題無い。

雲台は数ヶ月使っていると固定ノブを占めても自然に緩んでくるようになるのでクソ。雲台は交換必須。
脚は性能的には値段以上だが仕上げと使い勝手は値段なり。
買って損は無いどころかこれを買っておけばドール撮影なら満足できそう。
と、雲台を除けば予想を上回っていた。

感想と改善方法を混ぜて書いていく。

まずは雲台。
アマゾンのレビューを見ていて戦々恐々としていたが、2016年6月20日購入分の雲台は意外と使い勝手が良い雲台だった。
# ロットによって仕様変更があるのか色々あるらしい。少なくとも今回は当たり。

固定力と摺動の具合だが、これについては全く問題無し。
比較的軽い力でがっちり止まり、摺動は比較的スムーズで微妙な調整も可能。
ただしボール面が梨地仕上げなので鏡面仕上げのボールを持つ自由雲台に比べれば動きは悪い。
しかしスコーンと動きすぎないこの重さは個人的には評価出来る。
鏡面仕上げのボールを持つ自由雲台は動きすぎて大変なんです。

数ヶ月使っているうちに固定ノブが勝手に緩む現象を確認。
ちょっと重めのカメラを乗せていると固定力が足りなくなるほどには勝手に緩むので危ない。
出来れば交換をお勧めします。


クイックシューは一見アルカスイス互換のように見えるが似て非なる物。
まずクイックシューの外し方だが、ロックネジを緩めて更にピンを押しながら横にスライドしなければならないのが結構面倒。
アルカスイスの形をしているならなぜそっちに準拠しなかったのか理解に苦しむ。
一応アルカスイス互換プレートは入るがクランプ側の改造と場合によってはプレート側の改造も必要。
ようは「クランプの上からはめ込めないので両方のピンが邪魔になる」ということでこれらのピンを撤去すればはまることははまる。
ただしアマゾン雲台のシューが若干特殊形状で底面▲のエッジがアルカスイス互換プレートのそれよりも薄いため、アマゾン雲台のクランプにアルカスイス互換プレートをはめ込もうとするとかなり渋いので、利用に関しては「とりあえず使える」程度で考えよう。

邪魔なピンについてだが、クランプ側の落下防止ピンは 3mm のヘックスボルトなので 3mm アーレンキーで緩めれば簡単に外れる。
# 外したときにボタンが射出されるので無くさないように注意。バネも外せるが中でひんまがってると取り出しに苦労する。

P6190009.jpg : OLYMPUS TG-3, 1/20sec F4.2 ISO-1250, 露出補正:-2EV P6190010.jpg : OLYMPUS TG-3, 1/20sec F4.2 ISO-800, 露出補正:-2EV

アルカスイス互換プレート側の落下防止ピンは物にもよるが 2mm のヘックスボルトなので 2mm アーレンキーで外すことが出来るものの、ネジロック剤が塗られている場合があるので緩めるときは気をつけよう。

使いにくさはこのクランプ部だけなのでここをどうにかすれば十分使える雲台となる。
そこでこのクランプ部をアルカスイス互換クランプに交換することにした。
クランプはクランプ中央で M6 の 5mm ヘックスボルトによりボールの首に結合されている。
幸いネジロック剤は使われていなかったのか簡単に緩めることが出来た。

P6190011.jpg : OLYMPUS TG-3, 1/50sec F3.4 ISO-800, 露出補正:-2EV

クランプを外すと回転防止のための突起があるが、この突起が重要。
クランプによってはこの突起のサイズが合わないので最悪突起が溝にはまらず浮いた状態になることもままある。
突起のサイズは 13x4mm の高さ 2mm。これに合う溝を持ったクランプを買えば良い。

ClTmV3XVYAALvV2-orig.jpg :  , sec F ISO-

ちなみにクランプ側の溝がこれよりも大きいならば問題無い。小さくてはまらない方が問題だ。
# まぁここら辺も規格だから特に問題とはならなさそうだが念のため気をつけよう。
今回は BENRO B1 のクランプ部を取り外して流用したが、これで使い勝手が大幅に変わるので是非お勧めしたい改造方である。

P6190012.jpg : OLYMPUS TG-3, 1/40sec F2.9 ISO-500, 露出補正:+1.3EV P6190013.jpg : OLYMPUS TG-3, 1/40sec F4.2 ISO-800, 露出補正:-2EV

ただしこの改造、ロットというか仕様変更で昔のものは交換出来ないものもあるらしいので、交換出来ればラッキー程度に考えよう。
最悪の場合は雲台丸ごと交換すりゃおっけー。

そんなこんなで雲台の寸評。
雲台のクランプについてはクソ認定。すっげー使いづらい。
しかもクイックシューの予備が無いので「比較的簡単に外せます」というだけ。
ボール部は意外と使い勝手が良いのでクランプを交換すれば非常に良い。


耐久性に乏しいので早急に交換をお勧めする。SLIK や Velbon の安い雲台の方がかなりマシ。

お次は脚。

流石にこの段数だと先の足の太さはかなり細く 10mm (カタログ値は脚径 最大/最小 23/11mm)。
# GITZO GT0545T も先の脚は 11.2mmなので似たようなもんだし。
全段伸ばして捻ってみると「まぁまぁかな?」と思うが悪くはないと思う。心配ならば最下段は伸ばさない方がいいかもしれない
# 流石に脚先 10mm で背が高いのはどんなに値段が高い三脚であろうとも心配です。
ドール撮影に限って言うならば高さよりもむしろ最低地上高の方が大事になってくるので脚はそれほど伸ばさないだろう。
まぁこの辺りはこの段数の三脚であればどれも同じ結果になるので目くじらを立てるほどでも無いし、目くじら立てるならどうぞクソ重くて足の太い三脚使ってくださいってことです。
また、脚の付け根の部分もしっかり作られており全体的にもガタなどの不具合は見つからず、この (三脚的な) クラスと段数を考えれば脚としての強度的な不満は無い、というか普通だろう。
# っていうかカーボン・5段・トラベル型でこの値段設定は頭おかしい

気になる点は全てのロックナットにおいて緩める方向に若干難有り。
というのも少し緩めるとなんか物理的に引っかかる感じがする。
で、そこからさらに緩めるとスコッと引っかかりが外れて後は問題無く緩む。
恐らく脚を締め付けるためのくさびスリーブが張り付いてこんな感じになるのだろう (実際に脚を伸ばそうとしてもこの状態だと脚が伸びないのでこの予想はたぶん当たり) が、ここらへんは値段の差が出てるのかな〜と思わざるを得ない。
# Velbon NeoCarmagne 640 のロックナットはコレに比べて凄くスムーズなのでショックを受けたw

脚はロックナットを完全に緩めると外れて脚を引っこ抜くことが出来るので、水に突っ込んで浸水しても水抜きは可能。
# 防水では無いので注意。
バラしたときに足の先にプラスチックの板が 2枚はめ込まれているが、接着されていないので脚を抜いたときにばらけて無くさないように。
この板 2枚で脚の回転止めとすっぽ抜け防止を実現している。

雲台の取り付けねじは 1/4 と 3/8 の両対応。
GITZO のようにアッパーディスクがネジのレンチ兼用になっているのでアッパーディスクとパイプを握って捻れば簡単に外せる。

P6190008.jpg : OLYMPUS TG-3, 1/60sec F4.2 ISO-800, 露出補正:0EV

Velbon の雲台ネジのように雲台を緩めたらネジまで一緒に着いてくることは無い。

ドール撮影時に一番気になるのがローアングル撮影。
この三脚、マニュアルを読む限りでは一般的なローアングル撮影機能である正立ローアングルが出来ない。
というのもセンターポールが途中で分割出来ない仕様なため、せっかくほぼ 180度大開脚が出来てもセンターポールを物理的に縮めることが出来ないので低さを稼げない。
なお、大開脚+センターポール仕様での最低高はアッパーディスク天面 (雲台接触面) まで 260mm なので全然低くない。
マニュアルや商品紹介で触れられているローアングルは倒立ローアングルとなり、センターポールを逆さに刺してカメラも逆さにして地面ギリギリにする方法。
しかしこの方法は最低地上高は稼げるものの、カメラが逆さになるので使い勝手がかなり悪い。

ただし非公式な方法で正立ローアングル (グランドレベル) 化出来た
# 言うなれば非公式正立ローアングルとか非公式グラウンドレベルとかか。

P6190018.jpg : OLYMPUS TG-3, 1/30sec F2.0 ISO-800, 露出補正:-2EV

簡単に書くと
センターポールにネジ込まれているフック付きの蓋とアッパーディスクを直結するだけ。
である。
説明書には書かれていないがフック付き蓋の軸の内側にご丁寧にも 3/8 ねじ山が切られており、お互いを直結できるようになっている。
# グラウンドレベル出来るなら説明書に書いとけよ勿体ない……。

P6190025.jpg : OLYMPUS TG-3, 1/40sec F4.2 ISO-800, 露出補正:-1EV
  1. センターポールにネジ込まれているアッパーディスクとフック付き蓋を外す。
  2. センターポールを抜く。
  3. センターポールのロックナットを軽く締め込む。
  4. ロックナットにアッパーディスクを被せ、アッパーディスクの裏に有るほんの少し飛び出たリブがロックナットの内径にはまるまでロックナットを緩める。
    P6190020.jpg : OLYMPUS TG-3, 1/40sec F2.8 ISO-800, 露出補正:-2EV P6190021.jpg : OLYMPUS TG-3, 1/30sec F2.8 ISO-800, 露出補正:-2EV
    # 完全に締め込んでいるとリブがロックナットの内側にはまらない。
    上手くはまると横方向に対して動かなくなりセンター出しが簡単になる。
  5. センターポールの穴の下側にフック付き蓋、上側に雲台ネジを貫通させたアッパーディスクを乗せてお互いをネジ込む。
    この時アッパーディスクがロックナットの内側にきちんとはまってずれ動かないようにしよう。
    アッパーディスクをネジ込んでいるとロックナットが一緒になって動きロックナットにはまらなくなるので時々はまっているかチェック。
  6. 最後にロックナットを更に緩める方向に回し、アッパーディスクの底面を軽く押すようにする。
    P6190022.jpg : OLYMPUS TG-3, 1/20sec F4.0 ISO-800, 露出補正:-2EV
特に最後の「ロックナットを緩める方向に回し」だが、雲台ネジの 1/4 側を使おうとすると蓋の軸にネジ込まれるネジの長さが長すぎて最後までねじ込めないのでどうしてもロックナットとアッパーディスクの間に隙間が空くため、これを行って隙間を無くす。

ここで注意すべき点として、ロックナットを緩める方向に回してアッパーディスクをロックナットで持ち上げて固定することになるが、この時ロックナットでアッパーディスクに圧力をかけすぎると、アッパーディスクのネジ穴の底がひび割れして最悪底抜けしてしまうので要注意!
# 抜けました。orz

P6190023.jpg : OLYMPUS TG-3, 1/20sec F4.0 ISO-800, 露出補正:-2EV P6190024.jpg : OLYMPUS TG-3, 1/15sec F4.0 ISO-800, 露出補正:-2EV

これは実際に GITZO GT2545T のグラウンドレベルキットで採られている手法。
しかしなぜかこの三脚にはこの手法をとれるにもかかわらず説明書への記載がないのである……。

この手法を使った正立ローアングルでの最低高は床からアッパーディスク天面 (雲台接触面) まで 3/8 仕様で 90mm、1/4 仕様で 96mm となり実用範囲内の最低高になる。
参考に手持ちの三脚の最低高を「仕様一覧」に記載してあるので参考まで。

……とまぁ値段と性能がつり合ってないように思えるが、仕上げと使い勝手に目を落としてみると値段なりというのがよく分かる。
まずロックナットのゴムリングが歪んで接着されていたり接着剤がはみ出していて見た目が悪い。
ロックナットを緩めるときの感触も若干悪いのは先述の通り。
また塗装に多少のバリが有り、フック付き蓋の金属部分に多少のバリがあった。
脚の開脚固定レバーにはスプリングが付いていないので普通であれば自動的にロックされるがこの脚は手動でロックしなければならない。

P6200028.jpg : OLYMPUS TG-3, 1/100sec F2.3 ISO-800, 露出補正:0EV P6200029.jpg : OLYMPUS TG-3, 1/100sec F2.3 ISO-800, 露出補正:0EV

P6200030.jpg : OLYMPUS TG-3, 1/60sec F3.8 ISO-1600, 露出補正:+1EV

そんなこんなで脚の寸評。
脚の出来は値段以上。でも仕上げと使い勝手は値段なり。
仕上げよりも機能だ!というならマジお勧め。

総合寸評は
ドール撮影などの高さをそれほど必要としない撮影ならば必要にして十分。
耐荷重が 3.6kg と中型三脚並みなのでミラーレスどころか 1眼レフのちょっといいレンズもいけそう。
5,000円くらいの三脚を買うよりはこっち買った方が長く使えそう。
この三脚、ホントは水抜きが簡単なので水没 (入水) 用ライトスタンドに使おうと思ってたけど Velbon NeoCarmagne 640 と入れ替えでメインになる予定。
ライトスタンドどうすんべ……。
# NGわーお:もう1本買おう。

▼仕様一覧 (実測)
雲台 重量
雲台(クランプ無しの首下だけ): 184g
クランプ: 76g
プレート: 27g
雲台 大きさ
雲台底面直径: 42mm
カメラ台接触面までの高さ: 69mm ※突起含まず
カメラ台接触面の直径: 13mm
カメラ台固定ボルトのサイズ: M6x20mm
脚 重量
脚のみ: 675g
ポールのみ: 73g
フック付き蓋: 26g
雲台ベース+雲台ネジ: 20g
※それぞれの重量は各値を合計してください。
非公式正立ローアングルの最低高
計測は床から雲台ベース天面 (雲台接触面) まで。
アマゾン三脚(3/8仕様): 90mm
アマゾン三脚(1/4仕様): 96mm
Velbon Sherpa Active II: 93mm
SLIK PRO-MINI III: 96mm ※一番低くするとゴムの蓋が床に当たるので外した
雲台の高さ
アマゾン雲台+BENRO B1 クランプ: 90mm
Velbon QHD-33: 69mm
Velbon QHD-41: 63mm

カタログに出ない細かい数値を記載しています。
それぞれ組み合わせた高さや重量については計算してください。

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