電波式ワイヤレスストロボはいくつかのメーカーが対応しているが、その中でも
- カメラボディメーカー以外のもの
- 当方が興味のあるメーカー
- 技適認証済み
な品を挙げてみようと思う。
凄く長いので畳みます。
まず
お琴割りお断りしておくが、Cactus を使用しているため Cactus 目線の評価になっているが、「だから Cactus は最高なのだ!(アライさん」ではなく、
各社それぞれ設計思想というものがあるので一概に何処が良いとは言えない。自分の目的に合ったものを選ぶようにすること。
また、最終的な機能の内容については「これ!」と決めたら対応・仕様内容を熟読すること。意外と罠があったりする。本記事を鵜呑みにはしないように。
現時点では
- Cactus V6/V6II/RF60/RF60X
- Nissin Air1/AirR/Di700A/i60A
- GODOX X1/V860系/TT685系/AD360系など
がメジャーどころか。
各メーカーの特徴を 1行で書くと
- クロスブランドが売りな Cactus。
- TTL 多灯が手軽に出来るのが売りなニッシン。
- 自社のストロボが
変態的個性的なのが GODOX。
になると思う。
「クロスブランド」とは「1つの親機または子機が複数のボディブランド (メーカー)・ストロボブランド (メーカー) に対応している」こと。
▼各メーカー比較表
それぞれを比較しやすくするために表にしてみた。
機能 | Cactus V6 | Cactus V6II | Nissin Air1 | Nissin Air10s | GODOX X1/Xpro |
親機の クロス ブランド 対応 |
○ ※親機が1つだけで全てのボディブランドに対応 |
○ ※親機が1つだけで全てのボディブランドに対応 ※V6IISのみ櫛形端子の関係でSONY限定 |
× ※ボディブランドごとに必要 |
× ※ボディブランドごとに必要 |
子機の クロス ブランド 対応 |
○ ※1つの親機・子機で複数のボディブランドに対応 |
× ※ボディブランドに合わせたレシーバーが必要 ※ボディブランド純正ストロボに限られる |
不明 |
スレーブストロボのクロスブランド対応 |
△ ※シンクロ速度のみ。TTL/HSS利用不可(そもそもV6が未対応) |
○ ※TTLを使用する場合はストロボ(RF60/RF60X)側に各ボディブランド対応ファーム(X-TTLファーム)を書き込む必要有り ※X-TTL ファームを書き込むと中途半端にマルチブランド化する |
○親機とスレーブストロボの対応ボディブランドが混在(例:キヤノン用親機+ニコン用スレーブ)でも制御可能。 |
○ 親機とスレーブストロボの対応ボディブランドが混在(例:キヤノン用親機+ニコン用スレーブ)でも制御可能。 |
ワイヤレスTTL対応 |
× |
○ ※X-TTLファームウェアで対応 |
○ |
○ ※スレーブストロボがTTLに対応している必要あり ※送信機がX1/Xproの場合のみ |
ワイヤレスHSS対応 |
× |
○ ※V6IIが親機の場合のみ ※HSS未対応の富士フイルムボディで対応機種であればクロスブランドでHSSが利用可能 |
○ ※HSS未対応の富士フイルムボディで対応機種であればHSSが利用可能 |
○ ※親機がX1、Xpro及びX32の場合 |
調光 ステップ |
TTL: 無し M: 1/3EVステップ |
TTL: 無し(X-TTLファームで1/3EVステップ) M: 1/3EVステップ |
TTL: 1/2EVステップ M: 1EVステップ |
TTL: 1/3EVステップ M: 1/3EVステップ ※i60Aのみ。Di700A・AirRの場合はAir1と同一仕様。 |
TTL: 1/3EVステップ M: 1/3EVステップ |
後幕 シンクロ |
△ ※ストロボ側で遅延タイマーを設定することにより実現 |
△ ※キヤノン用のみ未対応 |
○ |
親機の メーカー 純正 ストロボ の有無 |
○ ※RF60(廃番)、RF60X |
○ ※同社 Di700、i60などNAS対応ストロボ |
○ ※同社 TT6xx系、V860II、AD360IIなどX System対応ストロボ |
サポート |
国内代理店有り(ImageVision)。 日本語マニュアル有り。 ただし香港HarvestOneに直接問い合わせた方が詳しい。 ファームアップデートの案内は本国の方が早い。 |
安心国内サポート、というか国内メーカー。 |
一部ブランド用は国内代理店有り(KPI)かつ日本語マニュアル有り。 アマゾンで売られているものは並行輸入品のためサポートは売り手次第かつ日本語マニュアル無し。 |
▼各メーカーの特徴
各メーカーの特徴を挙げてみよう。
- Cactus
-
最強のクロスブランド。
他のコマンダーに比べて対応ブランド数が多く、1つの V6/V6II で複数のボディ(マスター/親機)・ストロボ(スレーブ/子機)ブランドに対応したクロスブランドとなっている。
また、親機は子機にもなるので購入の際は迷うことがなく、複数のボディ・ストロボブランド持ちの人にはお財布的に優しい仕様。
ただし子機が親機と同じということは値段も親機と同じなので、子機を複数買うと地味に辛い。
対応ボディブランドはなんと SIGMA にも対応しており、対応ストロボブランドはボディブランド純正ストロボだけでなく、GODOX やニッシン、メッツなどストロボ専門メーカーのストロボも対応リストに入っており、対応品一覧に入っているものに関してはスレーブとしてメーカー混在で使える、真の意味でのクロスブランド。
プロファイルエディタでプロファイルを自作すれば対応リストに無いストロボも使えるようだがハードルが高い。
標準仕様では TTL が使えないが、X-TTL ファームウェアを焼けば V6II が対応している様々なストロボをクロスブランド状態で TTL が使えるようになる (例えばキヤノンボディでニコンのストロボが TTL で使える)。頭おかしい。
ただし親機側はボディブランド限定になるものの、ファームを焼き直せば元のボディ側クロスブランド対応に戻すことも可能。
HSSが使えない富士フイルムのカメラでも ForceHSS により HSS が可能なチート機能を持つ上に、クロスブランドで HSS が使えるのも強力な利点。
なお、V6 無印 (2型ではない) は先進機能が無いので、違いがわからない人は若干安くて手が出そうになるが手を出さないように。
複数のボディ・ストロボブランドを使っていてマニュアル調光メインの人に最適。
Cactus のストロボについては、V6/V6II で制御できる Cactus 純正ストロボは RF60 (廃番) と RF60X のみ。
このストロボはストロボ単体で V6II の子機になる (レシーバー内蔵) ことで真価を発揮 (HSS や X-TTL ファームで TTL が利用可能) する。
ボディ側と通信を行う信号端子が無く X接点のみのため、クリップオン状態で使うならばただのマニュアルストロボなので、ある意味クロスブランド。(笑)
- Nissin
-
手軽に TTL 多灯が出来るのが売りのようだ。
なんといっても安心の国内メーカー・国内サポート。そしてワイヤレスでも TTL が利用できるため、マニュアル調光にとっつきにくい人向けの製品だと思う。
ボディ側対応ブランドは国内のメジャーなブランドに対応しているが、Cactus V6/V6II のようにクロスブランドではなくボディブランドごとに親機が必要になる。
また、親機・子機の機能が別れている (子機は V6II に比べて安い!)。
TTL 多灯が前提なため TTL 機能は網羅しているものの、マニュアル機能についてはおまけ程度 (中の人曰く「コストの問題」) で、Air1 はなんと調光ステップが 1EV と大雑把すぎる。
また、TTL の調光ステップも 1/2EV 単位と他のメーカーと比べると調光幅が荒い。
こちらについては Air10s という上位バージョンが発表され、調光ステップは TTL・マニュアル共に 1/3EV 単位で最小出力がなんと 1/256!
……なのだが、これは i60A のみであり、Di700A や AirR の場合は相変わらず Air1 と同じ調光ステップなので要注意。
そして延期に延期を重ねて未だ未発売 (2017年8月末現在)。
Air10s が出たら本番です!か?
こちらの制限についてはどうも Di700A と AirR そのものの仕様のようで、Di700A と AirR の仕様をよく見ると調光ステップが 1EV と書いてある。i60A は 1/3EV ステップなのでスレーブ側の問題だろう。
HSS が使えない富士フイルムのカメラでも HSS 可能対応リストに掲載されているボディであれば HSS が可能なチート機能を持っているのは Cactus と同じで富士フイルムユーザーにっこり。
子機となる AirR を使うと手持ちのボディブランドの純正ストロボをスレーブとして利用できるため無駄は無い。
……が、制御出来る条件がとても微妙。
具体的には、親機のブランドと同じブランド (ニコンならニコン純正ストロボ) でないと制御出来ないというブランド混在が不可能な仕様なので気をつけよう。
しかも子機もボディブランドごとに用意する必要がある。
→ Air R FAQ → 「1つのAir1から、ニコン・キヤノン・ソニー用など他のメーカー用のAirRを装着したストロボも制御できますか?」
→ Air R 製品紹介
ちなみに 2017年8月末現在、AirR はメジャーな 3社しか対応していないので、弱小 マイナー それ以外のブランド利用者は注意が必要。
TTL 多灯を目的とし、ボディ・ストロボブランドが限定してる人 (要は純正が高すぎてサードパーティの同等品が欲しい人) にお勧め。
複数ボディ・ストロボブランドを使ってる人が買うと場合によってはコスト高になる。
ニッシン純正ストロボをスレーブとして使う際は若干注意が必要で、NAS 対応か否かによって使い勝手が異なる。
ニッシン純正ストロボ本体が NAS 対応であれば、親機と子機の対応ブランドが混在状態 (例えば親がキヤノン用、子がニコン用) でも AirR 無しで制御可能なクロスブランド仕様となっている (NAS 対応ニッシン純正ストロボはレシーバー内蔵)。
もしストロボを 1本も持っていない状態で導入するなら、ストロボも NAS 対応のニッシン純正ストロボで揃えると後々楽になれる。
しかし、ニッシン純正ストロボでも NAS 未対応のストロボについては AirR を使わなければならないため、対応ブランドを揃える必要がある (混在不可) ので注意。
NAS に対応した ニッシン純正ストロボならクロスブランドと覚えておけば良いだろう。
- GODOX
-
変態ストロボラインナップ、ここにあり。
GODOX 純正の変態的なストロボをワイヤレスで使うならこいつしかない。
というかストロボが個性的な奴らばかりなんですけど!!
対応するボディブランドはキヤノン・ニコン・ソニー・オリンパス/パナソニック・富士フイルム・ペンタックスに対応しており、X1T、Xpro はアマゾンで「技適証明付き」などの注釈があるものについては技適証明を受けている。
この技適証明、どうやら GODOX 自ら証明を受けてるようで、アマゾンでも技適シールの貼られた並行輸入品?を購入することが出来る。
なお、C/N/S 以外はレシーバー (X1R) のラインナップが無い。
GODOX 純正の周辺アクセサリーに目をうつすと、スレーブ側にはクリップオン型の V860II やポータブルモノブロックとも言える AD360II、バッテリー式の高出力モノブロック AD200 や AD600 など変わり種のストロボが電波式ワイヤレスでフルコントロール出来る。
何よりも嬉しいのは Cactus に比べてクリップオンストロボが安いこと。
技適証明を受けており合法的に使用できる TT685 系でも 1.2万円と、Cactus RF60X の半額くらいで手に入る。
GODOX X1T はボディブランドごとに用意しなければならないが、Cactus は V6II がクロスブランド仕様で 1つで済むという優位性はあるものの、仮に X1T を CNSOF 全種揃えたとしてもスレーブ対応 GODOX クリップオンストロボが十分安いためペイ出来る計算になる上に、ストロボを増灯すればするほどコストの格差が広がるので、GODOX がサポートしているカメラブランドのカメラを使っている人は GODOX も選択肢の内に入ると思われる。
ワイヤレスコントロール "X System" 利用時は、ニッシンと同じように親機・スレーブストロボが対応ボディブランド混在であっても HSS や TTL 制御が可能なのは共通。
なお X1R レシーバーについては混在で利用出来るかは不明。
TTL に関しては X1T が TTL に対応していてもスレーブストロボが (どこかのボディブランドの) TTL に対応していなければ TTL がワイヤレスで使えないので要注意。例えば TTL に対応していない TT600 を X1T のスレーブストロボに使うと、X1T は TTL に対応しているが TT600 は TTL に対応していないので TTL が使用できない。
スレーブストロボが (どこかのボディブランドの) TTL に対応しているのであれば、親機とスレーブストロボの対応ボディブランドが異なっていても (X1T-C+TT685O など) TTL が利用可能となる。
HSS については商品説明で「X System を使えば HSS が使えます」と書かれている。これは TT600 が一番良い例で、TT600 は X 接点しか持たないフルマニュアルストロボのため TT600 単体では HSS が使えない。しかしワイヤレスで使用すると X System が HSS の制御を行うので HSS が使えるというもの。
これについては Cactus RF60X と同じだと思ってもらえば良い。
▼結局どこがおすすめ?
「ごたくはいいからお勧めを教えろ!」と言われそうだが、いくつかの条件が出てくるのでちょっとややこしい。
まず、手持ちのストロボを生かすかそれともゼロから始めるかで選択肢が若干変わってくる。
ゼロから始めるならぶっちゃけどこでもいい。
そのメーカーのコンセプトにしたがって自分に合うメーカーのワイヤレスシステムを選ぼう。
具体的には
- ボディブランドが SIGMA の場合は唯一対応している Cactus 1択。
また、ペンタックスは GODOX に対応の送信機が無いので Cactus かニッシンで。
GODOX の送信機がペンタックスにも対応したので GODOX どうぞ!
- TTL 前提ならニッシン。ストロボは将来性を考えてかならず i60A を買ってください。腕が上がって将来 Air10s に買い換えたら幸せになれます。Cactus や GODOX でも TTL は使えるみたいだが少なくとも Cactus の X-TTL は凄く微妙。
- 多灯時のコストを考えるなら GODOX。スレーブクリップオンストロボが 3メーカー中最安。
- TTL は不要で数多くのボディブランド持ちなら親機が 1つだけで済む Cactus も視野に入る。
しかし手持ちのストロボを持っていて、そのストロボも有効活用したいというならば条件がちょっと変わってくる。
まず、どのメーカーを選択するにしろ、
ワイヤレスで使用するスレーブストロボを増やすならそのメーカー純正のストロボを買うべき。
(Cactus なら RF60X、GODOX なら AD/V/TT など、ニッシンなら NAS 搭載のストロボなど)
わざわざカメラブランドの純正ストロボを買ってレシーバーで変換する必要は無い。
「手持ちのストロボを生かす」というのは、
今使用しているカメラブランド純正のストロボを有効活用する、という程度なのが前提。
むしろ今使っているカメラブランド純正のストロボはオンカメラ限定で使用すると決めるならば
選択肢が広がります。
さらにぶっちゃけると、オンカメラで使うつもりが無いならカメラブランド純正ストロボは売ってしまって、その金でワイヤレスストロボメーカーの純正スレーブストロボを買った方が使い勝手は上がる。
閑話休題。
ボディがペンタックスもしくはシグマなら Cactus 一択。
それ以外で多灯システムを安く組みたいなら GODOX。
多灯 TTL を楽にこなしたいならニッシン。
2017年8月末現在の親機・子機販売/対応状況。
- Cactus
-
X-TTL 対応は富士フイルム・シグマ・オリンパス&パナソニック・ペンタックス・ニコン (V6II)、ソニー (V6IIs) のみ。
- Nissin
-
Air1 (親機) はキヤノン・ニコン・ソニー・フォーサーズ・富士フイルム用が販売中。
→対応表
Air10s (親機) は全ブランド未発売 (発売延期中)。2017年10月発売予定。
AirR (子機) はキヤノン・ニコン・ソニー用が販売中。
→対応表
- GODOX
-
「技適証明付き」の注釈がある X1T、Xpro 親機については全てのブランドが合法的に利用可能。
子機は C/N/S 以外は無し。
合法的に使用できるスレーブストロボは KPI 扱いの TT685系、V860II系、AD360II。AD200/AD600系はマスター機能が無いのでそのまま利用可能。
└ G兄
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