2016年1月7日(木)更新。GNを倍にしたときの数字間違えてました。
2012年8月11日(土)更新。「ワイヤレス制御での壁バウンスについて。」を追記。
Twitter でフォロワーさんが「ストロボってどんなのがいいんだろう。先っちょに着けるのも色々有るし照らし方も様々でよくわかんね。」って話をされていたので、今回はストロボについて簡単にご説明するでござる。
Twitter でつぶやいたことをまとめて更に加筆修正したものだが、間違ってるところもあると思うのでそこらへんはつっこみ歓迎。
▼ストロボ関連のネタ
ストロボのガイドナンバーについて。
よく GN58 や GN43、GN36 など聞くが、これはストロボがズームストロボの場合は望遠側設定でフル発光したときの明るさを示す。
ガイドナンバーは大きければ大きいほど光量に余裕があっていいが、一般的な室内では GN58 のフル発光を必要とする場面はそうそう無いので、中型の GN43 (キヤノン 430EX) や GN36 (オリンパス FL-600R など) で十分となる。
なお、ISO 値を 1段上げる (例えば ISO 100 → ISO 200) とガイドナンバーは2倍(=+1EV) (GN40 → GN56) となるので、もし明るさが足りないと感じたら ISO 値を 1段上げてみるのをお勧めする。
ストロボの首の曲がる方向について。
ここでは「壁バウンスで撮影する」ことを前提条件とする。
ストロボは首をいろんな方向に振ることが出来る。
中型以上だと上下 90度、左右 180度で小型だと上下 90度もしくは完全固定。
まれに下方向に 5度くらい傾けることが出来るものもある。
記念撮影くらいしかしないなら完全固定の小型ストロボでも良いが、壁バウンスを使った撮影をするときは
2軸で回らないものは論外。
まず上下 90度だが、このように
天井バウンスでは基本的に真上を向くことが出来ないと天井に光を飛ばせないので上下 90度曲がらないと意味が無い。
次に左右首振りだが、出来れば左右 180度。無理なら右だけ 180度が必要。
というのも、なぜ右が 180度必要なのかというと「縦位置撮影の時に斜め後ろに向けられる」から。
左傾き。
首の振りが右方向に 180度向けられるとこのように斜め後方にバウンス出来るので、被写体から見て斜め上から光を当てられる。
右傾き。
このようにストロボヘッドが右に 180度回転できないと左傾きで縦位置撮影した時に後方バウンスが出来ない。
なぜ左傾き限定なのかというと、バッテリーグリップを着けて縦位置撮影をすると左方向きにせざるを得ないからだ。
更に、横位置撮影でもどちらか 180度後ろを向いてくれないと後方バウンスが出来ない。
というわけで選択肢は必然的に「中型以上のストロボ」になり、小型系は「Out of 眼中」。
ストロボのアクセサリについて。
一般的なストロボは
こんな感じ。
先っちょに着ける器具は「バウンサー」であったり「キャッチライトパネル」であったり「ディフューザー」であったりするけど、今回は手持ちの機材として
を用意。
「バウンサー+ディフューザー」ってのは「反射+拡散」を行うもので、自分が持ってるのは「ルミクエスト ビッグバウンス」。
チョーでかいです。
ストロボヘッドの首にも結構負担かかります。
これが「ディフューザー」だけになると「拡散」だけを行うので光を柔らかく出来る。
簡単なところではトレーシングペーパーを 2、3枚重ねて発光面を擬似的に広げることにより、「直線的で狭い」光を「柔らかく広い」光に変更する。
バウンサー+ディフューザーとディフューザーのみ、どっちがいいかは人それぞれだけど個人的には「ディフューザー」だけでいいような気がする。
「キャッチライトパネル」は人間の瞳にちょっとしたアクセントとして光を入れるための物で、それが直接被写体を明るく照らしたりはしない。
まさに「キャッチライト」を与えるためのパネルだが、天井が低いと天井バウンスによる拡散も同時に使えて被写体に柔らかい光を与えることが出来る。
天井バウンスが出来なくてもキャッチライトパネルが拡散光になってある程度明るくしてくれる。
ストロボの照らし方について。
・・・は、ドールを被写体にするのでちょっとたたむ。
人形写真注意。
明るさはストロボ光量補正をあまり行っていないのでちょっとまちまちになっている。
参考写真は無加工の素揚げなので普段の色と比べて大分ナチュラルな色になっています。
直射。
影が強く出ていていかにも「ストロボ使いました!」的な絵になって美しくない。
1灯でキャッチライト板+ (必然的に) 天バン。
ストロボヘッドが上を向くので必然的に天バンになるので背景の影が天バンで反射した光で若干消されて淡くなる。
しかし距離が若干近いので光が拡散しきれていない。
もうちょっと撮影距離を稼げるのであれば直接光が届きにくくなり拡散光のみでライティング可能。
1灯で大型バウンサー+ディフューザー (ルミクエスト ビッグバウンス)。
キャッチライト板とあまり変わらないように見えるが、背景に目を向けてみると影が柔らかくなっている。
大きなディフューズ面で拡散されているからだ。
1灯でトレペ。
トレペとストロボヘッドの距離が近いと拡散しきれないので今回はちょっと失敗。
普通ならもうちょっと柔らかくなるはず。
・・・という難しさがありますという例程度に。
1灯で後方天井角への壁バウンス。
壁にストロボ光を当てるので、当たった面付近全体が拡散光となり柔らかい光になる。
ワイヤレス 2灯で 1つは後方天井角への壁バウンス、もう 1つは撮影台直上で真上に天井バウンス。
1灯だけの壁バウンスと比べてみて欲しいが、背景に光がまわっており、頭頂部にも光が当たっている。
1灯だけの壁バウンスだと「1カ所からの光」に見えてしまうが、2灯のバウンスだと「部屋全体で照らしている」イメージに出来る。
この中でも一番自然なのはやはり 2灯を使った撮影だろうか。
ただし、2灯でなくとも「1灯天井バウンス+レフ板でフロントライト代わり」という手法もあるので必ず 2灯必要というわけではないが、片手にレフ板、片手にカメラを持ってシャッターを切るのはなかなか難しい。
レフ板スタンドを使ってハンズフリーにするか、カメラを三脚に固定してレフ板を人間が持ってセルフタイマーでシャッターを切る、という方法も有るには有る。
壁バウンスの注意点。
といっても簡単な話だが「色つきの壁でバウンスはやるな」。
色つき壁に光を反射させるとその色までが反射されて被写体に当たり変な色になる。
可能な限り白を、出来ればアイボリーまでで押さえておいた方が無難。
茶色い壁だと光が赤くなるので、もし壁に色が付いているならば突っ張り棒+でかい不透明のシーツを買ってきてそれを壁代わりにすれば良い。
ただし設営と撤収が面倒この上ないかもしれない・・・。
どの程度の色までが影響するかはわからないので、とりあえず撮ってみてからの判断。
壁バウンスの方向について。
基本的には「被写体から見て仰角 30〜45度付近」から照らすと頭の上から正面まで光がまわる。
これが真正面からのバウンスだと頭の上が暗くなり真正面が明るくなりすぎる。
また、平面的に見えてしまうことも多々有り。
逆に天井(真上)だと頭の上は明るくなるが顔に影が落ちてかなり暗くなる。
天井バウンスしてレフ板で光を起こしても良いが、お化けライト (下からのライティング) になりかねないので注意。
ちなみにワイヤレスの 1灯だが、被写体から見て左 45度、距離 1.5m の位置に三脚を置き、そこにストロボを乗せて天井から 80cm 位の所でワイヤレス天井バウンスしたらこうなる。
また、先に述べたようにレフ板で光を起こしてもよく、上手くやればそれなりに撮ることが出来る。
まずは天井バウンスだけ。
これを、被写体の顔から見て前方右側 30度で少し下からレフ板を当てたものがコレ。
頬や前髪が影になっていたのを大分抑えることが出来た。
ワイヤレス制御での壁バウンスについて。
ワイヤレス制御を行うとストロボの光を好きなところから照らすことが出来るので、使ったことが無い人は是非お勧めしたい。
特に最近のカメラは内蔵ストロボがコマンダーになっている物が多く、別体式のコマンダーを必要としないので手軽に始められる。
その際はストロボ光を消し、赤外線のコマンド信号のみを透過する「Nikon SG-3IR」を是非とも装着することをお勧めする。
さて本題。
今回は背景用とフロント用で 2灯を使った。
まずは背景用の 1灯の設置。
撮影台の上に梁を渡し、そこに真上に向けて天バン。
ストロボズームは 90mm とか 105mm とかにすると収束しすぎるのである程度の広がりを持たせるために 35mm 判換算 50mm に設定。
次にフロント用の 1灯だが 3パターンほど試してみた。
まずは被写体からの距離 1.8m、高さ 1.8m のところで天バン。
で撮ったのがコレ。
今度は天井の角バウンス。
高さは同じ。
で撮ったのがコレ。
最後に、ベッドの縁に置いて被写体から見てちょっと右寄りから天井の角バウンス。
で撮ったのがコレ。
ベッド縁に置いたのは微妙に向かって右から光が当たり顎の下の影がない。
天バンしたのは正面ちょっと上から光が当たり顎の下に影が。
天井角バンしたのは光の当たりは同じだが顎に影無し。
どれが良いかは人それぞれだが、自分が良いと思うのは「天井の角バウンス」かな。
変形パターンとしてワイヤレス 2灯で 1つは後方天井角への壁バン、もう 1つはすだれ背景と壁の間に上からストロボヘッドを突っ込んで下方照射。
上からの光が無くなるけど「逆光」を表現することが可能となる。
おまけで RAW 現像。
OM-D の RAW を SILKYPIX で素揚げ (何もせず現像) するとかなり眠い絵になる。
これが OLYMPUS Viewer 2 で現像するとかなり良い結果になるのだが・・・。
そこでパラメーターをちょっといじって現像。
「変形パターン」の RAW 編集・現像。
「1灯で後方天井角への壁バウンス」の RAW 編集・現像。
どちらも
- 黒レベル:+10
- ガンマ:1.15(標準)→1.10
- コントラスト:1.50(標準)→1.65(やや硬調)
- カラー:「記憶色1」でビビッドに
をベースにパラメーターを変更している。
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